「人の不幸は蜜の味」という言葉があります。

個人的な感覚でいう数字なのですが、他人の不幸を喜ぶ人は、だいたい世の中の30%ぐらいはいると考えています。ただ、大概の大人は、自分自身にそんな感情を認めることを許しませんから、人の不幸に接したときに、いつもより気分が高揚して饒舌(じょうぜつ)になって誰かを断罪したり、不幸の渦中にいる人の話題の情報を興味津々で漁ったり(あさったり)する程度です。

注意しなければいけないのは、世の中の3%ぐらい存在する、積極的に人を傷つけようとしてくる人たちの存在です。だいたい、30人に1人くらい、どこのクラスや職場でも身の回りには一人はいると私は体験的に考えています。
ネット上で、人の不幸に集まってきて「メシウマ」発言をしている人たちですね(「メシウマ」とは、他人の不幸や失敗で飯が旨い、という意味です)。子どもが事故で亡くなったというニュースの掲示板で、正論をかざして親を責める書き込みをするような人たちです。

彼らは普通に私たちの周りにいますし、女性の場合、むしろクラスや職場の人間関係の中心にいることが多くあります。彼女たちは、基本的に人の心を見透かすことが得意な人たちなので、場を盛り上げたり人を笑わすのも得意。人心掌握が巧みなため、自らの派閥を作り、クラスでいえば男子たちとも太いパイプを持ち、職場で言えばおエライさんたちに気に入られていたりします。
人怖じしない積極さで派閥を広げ、鋭い人間評価などを上層部に披露することで上層部に取り入るなど、組織内で大きな影響力を持っていることが多くあります。

職場で齢を重ねるとお局(おつぼね)になるタイプです。同性に対する支配力の強さが特徴です。
大体、自信家で仕事も要領よくできるのですが、基本、意地悪でわがままです。

frenemy


彼女たちは人の噂話や悪口やスキャンダル話が大好きです。
身近な例でいうと、同席しているときに、トイレに立ったら即、悪口を言いそうな人たちですね。
これらの毒を含んだ話は、場を盛り上げることができるので、「人の中心にいて、いつも笑っている明るい性格」と評価されていることも多々あります。

しかし、彼女たちは人のダークサイドにばかり注目します。
女性週刊誌を愛読し、スキャンダル、破局話、離婚話、不倫話が大好きです。
人の不幸を喜びます。相対的に自分が幸せに感じられるからです。
人の欠点を指摘します。相対的に自分が賢く感じられるからです。

彼女たちは、気づかれないように人を傷つけて、楽しむことが得意です。
その場にいない人の悪口で、嗤い(わらい)を取ることは彼女たちの日常です。

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さて、長くなりましたがここから本題です。

「フレネミー」とは「友人のフリをした敵」のことです。フレンド(友人)とエネミー(敵)を足した言葉です。
あなたが、友人と思って付き合っている人の中に、他人を傷つけて内心喜ぶ人たちがいないかどうか注意しないといけません。

彼女たちは、人の不幸が大好きですから、あなたが死別を体験し、ひどく傷ついていることに対し、最大限の興味と関心をもってあなたの一挙手一投足に注目しています。

あなたの不幸が深ければ深いほど、このような人物を強く引き寄せてしまうのです。

何日間会社を休んだ、今日は顔色が悪い、昨晩は泣き続けたのか瞼が腫れている・・・。
あ、あるまじきことに笑ったよ、あいつ、なんて考えています。

人の不幸は蜜の味、という言葉のとおり、彼女たちは、あなたの苦しみを幸せを感じ、愉快に思っているのです。繰り返しますが、そういう人たちは、30人に1人くらいいます。

彼女たちは、今日はそんなに落ち込んでいないと感じると、面白くないなと感じ、傷に塩を塗ってこようとすることがあります。

まず、死別したことを思い出させる行為に出ます。あくまで心配している体(てい)で。
 「もうそろそろ1か月ね。どう、立ち直ってきた?」
 「こんな雨の日だったわね、あの人が事故に遭ったのは・・・」

 「生きていたら、来週、30歳ね」


思いやっているふうに見せながら、あなたが思わず罪悪感を感じてしまうような発言もします。
 「よかった。笑顔が増えてきたわね」
 「よかった。もうすっかり元気そうね」


そんなに簡単に次にいけないこと知ったうえで、神経を逆撫でする発言もしてくることでしょう。
 「早く忘れなさいよ」
 「若いのだから、次の男を早く見つけなさいよ」


悩みを聞くふりをして、落ち込み具合を把握し、弱みを握るというのは彼女たちの常とう手段ですから、根掘り葉掘り、どれだけ傷ついて、悲しんでいるか訊き出すこともあります。
 「昨晩も泣いたの?瞼が腫れているよ」(泣き続けていること確認できると嬉しい)
 「夜、寂しくない?」(抱いてくれる人がいない現実を突きつけ、淋しそうな顔が見れると嬉しい)
 「休みの日は、何をしているの?外に行っている?」(暗く家に閉じ籠っていると嬉しい)

もし、あなたが新しい異性とつきあい始めようとしたら、それを敢然(かんぜん)と引き留める行為に出るでしょう。あなたに不幸のままでいてほしいのです。決して恋バナなんてしてはいけません。
 「もう彼のことを忘れたの?そんなに薄情な人だったの!?」(新しい男を絶対に作らせまいとする)

本当に性格が悪い人の場合、あなたを鬱(うつ)状態に陥れたり、メンタルを病むように仕向けてきます。あなたが不安を感じたり、葛藤(かっとう)したり悩んだりするような言葉をわざと投げかけてくるのです。
 「まだ、立ち直れないの?前を向きなよ」(後ろ向きであると非難している)
 「まだ泣いているなんて、おかしいよ。彼も悲しむよ」
(現状を否定して混乱させる)
 「思い出の品は、すぐにでも捨てるべきよ。」
(心の拠り所を破棄させようとする)
 「旦那が死んだのに、もうこんなに笑えるんだ。よかった」
(薄情な人間なのかと苦しませる)
 「これから経済的なことが心配ね」
(問題を思い出させ、不安を煽る)

最悪の一言は、これです。
 「私だったら生きていけないわ」(死にたい気持ちに誘導させる)

これらはすべて、一見思いやりから発言しているような体(てい)を装っています。

彼女たちにとって、傷口を見つけたら、友人のようなふりをしながら落ち込ませることは簡単にできることなのです。そうやってずっと生きてきたのですから。
思いやる言葉の中に、グサッと刺さる棘のある言葉をさりげなく一つ混ぜて話すというのもよく使われる手です。
深い傷を負っている人をさらに傷つけることに生きがいを感じる人も世の中にはいるのです。

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ここで注意しなければいけないことは、上記の言葉自体が悪いわけではないということです。発言する人の心の底に、善意があるか、悪意があるかかが問題なのです。

本当に心から心配している人でも、無邪気や無神経さから傷つける言葉を掛けてくることは珍しくはありません。死別の悲しみがどれほどつらく、苦しく、悲しいのか、若い人の場合、理解できないほうが普通ですから、却って傷つけてしまう励ましの言葉をかけてしまうことはよくあることです。

傷つく言葉を言われたからといって、その人に悪意があるかどうかは総合的に判断しないといけません。
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次の項目に多く当てはまるような人だと、その人がフレネミーである可能性が高いでしょう。
 
 普段から人の噂話や陰口が多い
 上司(先生)や会社(学校)や家族(旦那)への批判・文句が多い
 女性週刊誌などのゴシップが大好きで、不倫、破局、離婚などの話題が多い
 他人の年収や学歴などを比較をすることが多い
 会話に「無視」「仲間はずれ」「イジメ」「意地悪」「嫌がらせ」という単語が多い
 あの人とは近づかない方がよい、などと誘導し、人間関係を切りに掛かってくる
 その人のことを嫌っている人がそれなりにいる
 イベントに誘うのはいつもその人からで、自分から誘ってもあまり応じてくれない
 落ち込んでいると、嬉しそうな顔をして話しかけてくる
 時折、無視される
 悩みやプライベートなことを根掘り葉掘り聞いてくる
 傷つく言葉を言うことがある
 成功談や幸せそうな出来事を報告すると叱りつけてくるなど落ち込ませる言動を取る 
 教えていない自分のプライベートな情報を他者を介して知っていることがある
 その人と会ったあとに落ち込むことが多い

真の友人は、傷が癒えるまでそっと温かく寄り添ってくれるものです。

女性の場合、つらい死別を体験したあとに、何人かの友人と縁を切ったという話を聞くことがよくあります。何度も心の傷に塩を塗りこんでくると感じたら、その人とはいったん距離を置いて、しっかりとその人の人間性を観察するようにした方がよいでしょう。