動物たちが何を考えているのか、知りたいと思ったことはありませんか?
動物たちが話をしてくれたら、と思ったことはありませんか?

一体、彼らは、どのような死生観を持っているのでしょうか?
大切な仲間を喪ったとき、彼らはどのように感じているのでしょうか?

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カリフォルニア州サンタクルーズ郊外の山々に広がる広大な研究施設にココ(Koko)というメスのゴリラがいます。ココは動物心理学者のパターソンから、手話を教わり、3歳の人間の子どもに匹敵する語彙である1,000語以上の手話を学習することに成功しました。

人間の言葉を動物に教えようとする試みはたくさんありましたが、ココの成果よりも成功したものはありません。ココは、人間との会話を通じて、さまざまなことを教えてくれました。



■子猫との死別のエピソード

動物心理学者のパターソンはココにたくさんの絵本を読み聞かせていましたが、ココは絵本に出てきた猫を気に入り、誕生日プレゼントに猫をおねだりしました。最初、おもちゃの猫をプレゼントしましたが、ココは気に入りませんでした。そこで、ゴリラがほかの動物をペットとして飼えるのかという実験も兼ね、生きた子猫を与えることになりました。

3匹の候補の子猫の中から、ココは自分と同じで尻尾のない子猫を気に入り、ボール(All Ball)と名付けて大変可愛がりました。ボールは、生後4週で母親に拒否された子猫で、ココを怖がりませんでした。
研究者たちは、ココの母性本能に心を奪われたそうです。ココは、とても優しく愛情深く世話をしようとしました。ココはボールを抱きながら「Soft(柔らかい)、Good(良い)、Cat(猫)」とよくサインを出していたそうです。

しかしある日、ボールは事故で車に轢かれて死んでしまいます。 パターソンがその事をココに伝えたときの動画があります。
[1分40秒]


話を聞いた瞬間は何の感情も示さず俯いていたのですが、少しずつ手話で「Bad(ひどい)」「Sad(悲しい)」「Frown(顔をしかめる)」と伝えました。それからココは、大きな声で泣き続けました。ココは数日間泣いていたそうです。

その後、新しい子猫たちとの出会いもありましたが、ボールが死んで15年経って、ボールによく似た子猫の写真が雑誌に載っていたのを見たときに、ココは「Sad(悲しい)、Cry(泣く)」と言い、写真を指したそうです。


■友人ロビンウィリアムズの死を悲しんだエピソード

2001年、俳優のロビン・ウィリアムズは、ココに会うように招待され、結果、彼らはとても特別な友達になりました。ココはかつて彼の映画も観ていました。

2014年にロビン・ウィリアムズの訃報が流れたとき、パターソンが「大切な友達のロビン・ウィリアムズが亡くなったのよ」とココに伝えました。ココは黙ってしまい、もの思いに沈んだ表情になりました。

その日の終わりには、ココは頭を下げ、唇を震わせて、とても暗い様子になったそうです。

[1分5秒]


■ココの死生観

ココと助手のムーリンのやりとりが記録されています。

ムーリン:  Where do gorillas go when they die?(ゴリラは死ぬと、どこにいくの?)
ココ:   Comfortable hole bye.(苦労のない 穴に さようなら。 )
ムーリン: When do gorillas die?(いつゴリラは死ぬの? )
ココ:   Trouble old.(齢をとり 病気で。)

"Comfortable"は「苦労のない」と翻訳されていますが、直訳だと「快適」という意味になります。
ココにとっては、死は生の苦労を終えて、安らげる場所と認識していることが伺えます。なお、パターソンによると、ココは散歩をするときなどに、死んだ動物が埋葬される場面を観察していたそうです。

いくつもの「さようなら」をしてきた優しいココにとって、仲間や友達が「苦労のない」ところに行っていると考えるのは、自然なことなのかも知れません。


ココの最近の様子は、こちらのサイトで知ることができます。

THE GORILLA FOUNDATION http://www.koko.org/


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